シロアリは平和主義者 戦い方を知らないのか 行列を作るのに途切れた行列は繋がらない


 今は夏の盛り。どこも暑い。アスファルトの、セメントの温度は何度だろう。アリが行列を作っている。”蟻さんと蟻さんがコッツンコ。アッチ行って、ちょんちょん。コッチ行ってちょん。”だ。確かにちょんちょんやっているが、なにか意味があるのだろうか。それにしても暑いが、アリは大丈夫なのだろうか。黒澤明監督の『八月の狂詩曲』(はちがつのラプソディー)と言う映画がある。(ウキペディア:撮影終了後にリチャード・ギアは「もうアリとは共演しない」と言い残して帰国した。蟻が地面に行列を作る部分までしか撮影できず、蟻がバラの木を上っていく場面は、京都の・・)バラの幹を登る蟻の行列が出演する。猫や犬を俳優にするのはきっと大変だろうって思う。しかし、アリにここに行列を作らせることはもっと難しそうだ。けれども、ちょっと勉強すれば、簡単だ。ところで行列の途中を草の汁などをこすり付けて切ってしまう。一時アリは混乱するが、間もなくすぐ行列は繋がる。切れた行列がどのように繋がっていくのかって思うが、詳しくは知らない。行列を作ることと作らないこと、とがあるのだろうか。餌を探すのに行列では効率が悪すぎる。
  庭に同じ種類で違う巣が幾つかある。管瓶に一緒に入れると激しい戦いが始まる。このまま放置すれば、両者とも全滅するだろう。勝者はいないだろうと思う。化学兵器とでも言えば良いのか両者とも毒液を分泌するからだ。顔面マッサージ器の先に細い塩ビの棒を付ける。先を振動させて巣の入口付近に当てる。アリが怒って一斉に攻撃にやってくる。攻撃を専門にするような兵隊のようなアリがいるのかどうかは知らない。が、数匹が喰い付いてくる。尻を曲げ揚げて、毒液を出すスタイルをとる。きっと最初に攻撃の標的に匂いの印をつけるのだろうと思う。こんなレッテルを張られたら大変だ。絶対に巣には戻れない。この振動棒に群がったアリは同じ仲間から死ぬまで攻撃を食らう。
 クリの木にアブラムシがいます。上へ行くのか、下へ行くのか。その間をアリが歩いています。アリはアブラムシを攻撃することはない。同じ種でも死ぬほどの戦いをするのに。共生と言うらしいが、これでは何も解決していない。アブラムシはきっとアリの攻撃を抑制させるような化学物質を体にまとっているに違いない。でも、そんな物質を確かめた人はいないだろうと思う。アリにアブラムシを擦り付ければ、アリの戦いは無くなるだろう。随分浅はかだった。アリとアブラムシを同じ容器に閉じ込めて振って擦りつけた。驚いたアリはきっと毒液を出したのだろう。アリもアブラムシも全部死んだ。結局共生という言葉で解決するしかなかった。
 家にシロアリが出た。どこかのばあちゃんが言った。黒いアリを入れれば良い。黒アリがシロアリを駆除するらしい。野外の朽ちた倒木を観察するとそうかもしれない、正しいかもしれないと思う。さて、ろ紙にボールペンで500円玉ぐらいの円を描く。その中央に20匹程のシロアリを放す。シロアリはボールペンの線を辿って歩く。見事な行列が出来る。新しいボールペンの線を追加すると、従いてくる。色鉛筆やサインペン、鉛筆では効果はない。どんなシロアリでも同じだ。九州のきっと北海道のシロアリでも同じだ。ボールペンの線はきっと触覚で見ているのだろう。触覚を根元から切断すると線を辿ることができなくなる。二酸化炭素の濃度を上げる。冷却パックで温度を下げる。これでシロアリの活動を停止させることが出来る。ゆっくり手術ができると思う。マレイシアにヤマトシロアリよりはるかに大きいシロアリが生息していた。わずかしか捕獲で見なかったが、やってみた。結局良くわからなかったが、けれども確かな結果は得られなかった。ボールペンの線と触覚の距離が離れすぎているようにみえた。コブラが出るかもしれない所には近づきたくなかった。本当はどうなのかって今だに思っているが、たしかめる手段がない。ボールペンの線の半径を5cmほどにして、1cmぐらい断線させる。シロアリは切れた端で集まって行列は途切れる。そのうち断線を繋げて、他端に辿り着く個体が現れる。クロアリならこれで行列は正常に戻る。シロアリでもこれで、行列が繋がるかもしれないと期待するが、大抵は繋がらない。一体どうなっているんだ。数十匹のシロアリの腹部を切り取ってアルコールですりつぶすとフェロモンを抽出することが出来る。この溶液で点々と線を引くとシロアリが従いてくる。多分問題の化学物質はそれぞれの個体が持っているのに行列は繋がらない。訳が分からないが、きちんと実験をしないとはっきりしたことはわからないかもしれない。
 陸の森のプランクトンと言うと、トビムシとシロアリのことだと言えるかもしれない。きっと戦うことを知らないかもしれない。土壌中の餌という点から肉食動物を支えていると思う。個体数を増やすことだけに生き残る戦略をとったっようにみえる。さて、2つの朽木に生息する異なる巣の道しるべフェロモンは同じ物質だ。だから、どちらの巣のシロアリもボールペンの線を辿って従いてくる。異なる巣の個体は戦うのだろうか。シャーレに2つの巣の個体を一緒に入れてやれば良い。大抵は戦いは見られなかった。が、一度、夜間に多くの個体が死んでいることがあった。何が起こったのか分からなかった。夜戦いが起こったのかもしれない。だから、結論が出せなかったが、今年再び確かめてみた。戦いは起こらなかった。きっと、巣の区別はしていないのだろう。シロアリはシロアリ同士全部1つの仲間のように思える。平和主義者なんだろう。しかし、兵隊アリがいるのはどうしてだろう。彼らは敵を知らなけれが戦えない。けれども、兵隊アリが戦っている姿は見たことがない。私の観察不足なのだろうか。
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