ペーパークロマトグラフィーとカラムクロマト
やっともう一度クロマトグラフィー法をやろう。水性ペンに含まれる色素や入浴剤に含まれる色素は水をしみ込ませてやれば分けることが出来た。けれども水に溶けない物はこれでは何ともならない。当たり前だ。溶けない物は動かない。油性ペンの色素とか光合成色素は水ではどうしようもない。ところで光合成色素は植物の葉の中にあります。水に溶けないって言いました。ちょっと不思議だ。生物の体の中、細胞の中は水でいっぱいだ。水に溶けない物がどうやって体の中にあるのだ。光合成色素は水に溶けないから細胞の中の構造物に結合しているのだ。ジューサーで水と一緒にかき混ぜても色素が溶け出てくるわけではない。何かにひっついたまま破片になるだけだ。水に溶けない物質を分離するには有機溶媒を使う。アルコール、アセトン、エチルエーテル、ヘキサン・・・などだ。この4種類の溶媒を試験管にそれぞれ3ml
ほど入れます。そこへゆっくりと水を加えてみます。水はどうなるのか。アルコールとアセトンは水と混ざります。エーテルとヘキサンは水とは混ざりません。水は試験管の下へ入って2層になります。
シソとかコリウスの葉から80%アセトンかアルコールを使って色素を抽出する。試験管にこの抽出液を入れる。ほぼ等量のエーテルを入れて、沢山の水を静かに加える。どうなるでしょうか。水は何処へ。エーテルは何処へ。緑の上の層と赤い下の層に分かれる。ちょっと歓声があがる。水によく溶ける色素は何処にあるのでしょうか。すぐ分かる。上の緑の層の液を濾紙にスポットして、ヘキサンで滲みあげる。黄色い色素が先端をいくが、後は全く動かない。面白く
ないだろう。エーテルで滲みあげる。全部上に上がってしまう。全く面白くなしい。半々程度にすると上のように幾つかの色素が分かれてくる。ちょっと面白くなる。この実験では水の時と違って蓋をしないといけません。どうして。やってみれば分かると思う。ついでに赤い色素はアントシアンという水に溶ける色素だ。光合成とはあまり関係がない。塩酸でも酢でも良いが少し加えて酸性にすると赤色になる。NaOHでアルカリ性にすると緑から黄色に変わる。可逆性なので繰り返してやることが出来る。さてこの赤色の色素はどんな役割を果たしているのだろうか。確かなことはまだ分からない。紫外線から葉緑体を守っていると言う話があるが、分からない。
さあ、ついにちょっと面倒なカラムクロマトグラフィーを注射器でやる。この方法だと黄色の色素2種類、緑の色素2種類を試験管に採ることができる。でも、その前に話しておきたいことがある。この方法の基礎は学生時代に若い先生に教えてもらったものだ。彼は夜だったか夕方だったのか研究室にやってきた。私にだけ見せると言った。試料は当時使っていたもやしだ。普通のカラム管を使った。実に見事に分離した。他にも沢山の実験資料をくれた。けれども、最後に、「僕は実験データを盗まれた。」と言った。私は真実を知らない。しかし、まもなく彼は命を絶った。未だに私は真実を知らない。申し訳ないが彼のデータは私には使いこなせなかった。押し入れの中に今眠っている。未だにあの時のようには分離ができない。
ペーパークロマトグラフィー法では溶媒を滲み上がらせたが、今度は管の中を滲み下ろしただけだ。濾紙を管に詰め込む訳にはいかないから、セルロースパウダーを詰めたものだ。なかなか時間がかかる。限られた時間で最後までやるのはなかなか難しい。それでも黄色の色素は簡単に流出する。試験管に色素が出始めると嬉しくなるだろう。実験用キットを作ったが販売はしていない。無駄な有機溶媒の使用を避けることが出来ると思った。
そろそろ終わりにした方が良いかもしれない。塾生はいない。HPは閉鎖したけれど、まだ結構訪問してくれる人がいる。
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