クモの糸
 
クモの巣がある。虫を捕るからありがたい糸だと言える人がいる。全くそうは思えない人もいる。しかし日本のクモはたいてい毒を持っていない。心配することはない。どちらかと言えば善良な地球住民だ。スピーカーの先とか顔面マッサージ器の先にこよりをつけてこれでクモの巣を揺すってやるとクモがやってくる。コガネグモなら腹部から突起が立ち上がって忍者のような糸を発射する。ちょっと格好良い。オニグモはマッサージ器を乗り越えて、手に飛びついてくることがあるから、心臓が弱い人は近づかない方がいいだろう。でも、結構面白い。クモが釣れそうになる。ティッシュをちぎって投げつけるとひっついてぶら下がる。ひっつくってことは糊が着いているか、それとも・・・。それとも何だろう。ひっつき虫って知ってるね。虫じゃない。植物の種だ。服に付くけど、糊がある訳じゃない。何というのだろう。接着バンドというのかな。表面にトゲトゲがでている。このトゲトゲで接着する。ルーペで見れば分かる。ルーペはね。目に近づけてその顔をそのままひっつき虫に近づけて見るんだ。クモの糸はそうぢゃない。トゲトゲなんてついていない。糊が着いている。顕微鏡で見れば糊の粒が見える。
 クモの巣にスプレーペンキを吹き付けて見えるように色を付ける。画用紙に少し薄めた洗濯糊を塗りつけてクモの巣に貼り付ける。周囲の糸をハサミで切り取るとクモの巣を取ることが出来る。クモの種類によって糸の張り方が違う。網の方向も違う。クモの種類というか狙う獲物によって糸の幅とかが違うのだろう。
 さて、クモの巣を採取するのにちょっと不思議な方法をとりました。・・・・。何処がおかしいのでしょうか。誰も答えないと思ったのに答えた者がいた。「なんで洗濯糊なんか使うんですか。」ティッシュペーパーがくっつく訳だから、クモの巣には糊が着いているわけだ。やってみて下さい。画用紙ではデコボコがありすぎてくっつきません。諦めては駄目です。ガラス板とかOHPシート(ベニヤ板の上に置いて使います)、アクリル板ならペタリとくっつきます。ところがちょっと困った問題が生じます。糸が見えません。今更ここでペンキを吹き付けたらさらに困ったことになります。黒板消しに濃い色のチョークの粉をつけて、吹きかけてやる。糸の糊の部分にくっつきます。ティッシュペーパーで拭き取ってやれば、網の糊の部分に色がつきます。これで見えるようになる。とり方が違う同じクモのクモの巣ですが、ちょっと違う。何処が違うのでしょうか。見えないクモの巣を見えるようにするにはまだ方法があります。生物が作り出した糸ですから、きっと炭水化物かタンパク質で出来ているのでしょう。タンパク質ならニンヒドリンを掛けてやれば紫から青色に発色してきます。でも、不思議な結果になった。粘球は発色するが糸はたいてい発色しない。防水加工がしてあるのかもしれない。
 生徒を外へ連れ出してやってみました。けれどもなかなか難しい。手頃なクモの巣が見つからなかった。結構沢山必要だ。オニグモ、ジョロウグモ、コガネグモなどの網が手ごろだと思う。オニグモは夕方網の位置を確認して実験に使うことにしておくと、実験の時間にはすべて無くなっている。なかなか良い網だが、実験には使えない。ちょっと不満だったが、ギンメッキゴミグモの巣しかなかった。半分半着な実験になたような気がする。けれども考えてみれば面白いだろう。クモはクモの網の上を歩く。糊があるからひっついちゃうだろう。誰かがクモは糊が着いていない糸の上を歩くと言った。確かに糊が着いていない縦糸に脚を掛けていることが多いが、それは横糸は下へ緩むからだろう。必ずしも縦糸にしか脚を掛けないわけではない。クモの目は顕微鏡の目だろうか。それとも無数の糊を付けたその粒の位置を全部記憶しているのだろうか。そうなら私たちはクモの脳に学ぶことが沢山あるだろう。クモだって神様じゃない。あの糊には体がひっつくことはないのだろう。クモを捕まえてクモの巣にぶっつけてみたら良い。どんな体勢でクモの巣にぶつかってもひっつくことなんてないだろう。ジョロウグモはジョロウグモやコガネグモの巣にくっつくことはありませんが、サラグモの巣の上をうまく歩くことができません。サラグモの巣の上では捕まって食べられてしまいます。

写真1 顕微鏡写真 縦にみえるのが横糸です。
写真2 ペンキスプレーで着色したクモの巣
写真3 セメント用着色黒い粉をかけたくもの巣  写真4 ニンヒドリン反応で着色
 
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糸が振動すると行きたくなっちゃう

サイエンスじゃらんーじゃらん
           本当は ジュクじゃが
アクワイアー・桜

-面白い実験でたしかめる生物の不思議-