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冬知らず、再び 花の開閉は花弁の成長の差?


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とっぷう
 冬知らずの花は朝開き、夕方閉じます。どうしてでしょうか。何度もチャレンジしてきましたが、どうしても分かりません。光が当たると開くとか、温度が高くなると開くとか・・どうもそんな単純な仕組みでもなさそうです。この花は連続暗期でも明期でも開閉を繰り返します。体内時計があると言って説明してしまえば簡単ですが、どうも、それでも説明ができそうもありません。開かない日もあるからです。花が置かれた場所によって、開閉時刻が異なるからです。花びらの内側と外側の成長の差で開いたり閉じたりするという説がありますが、本当でしょうか。光合成が開閉に関係するという説がありますが、本当でしょうか。
 花びらには裏表があります。裏と表は当然構造が違います。葉には同じように裏と表があります。もちろん構造が違います。構造が違うから植物は葉の表側から光を受けることが大切になります。花びらの裏表はどう違うのでしょうか。この構造の違いはきっと花びらの開閉と何らかの関係があるだろうと思いませんか。「もっと面白い実験でたしかめる生物の不思議」の「昼開いて夜閉じる花」(蒼天社)で作った人工の花は成長はしないけれども、開閉を繰り返します。裏と表の材質が異なるだけです。でも、ちょっと実験するとわけが分からなくなります。再び頑張ってみましょう。   
 
×  ×   pのタッパを4つほど用意して下さい。2つは黒のスプレーペンキを塗って暗所実験用に使います。小型のタッパに5oほどの穴を開けて、花の水差しにします。冷却はビニール袋に氷を入れたものか保冷剤をパックの上に置きます。暖めるにはホッカロンを置きます。4ページの表はいろいろな条件下での開花時刻の違いを示したものです。やっぱりわけがわかりません。
 11月から12月にかけて野外の冬知らずは午前11時頃開花して3時頃閉じます。(本当はどうも花の場所によって開花時間が異なっているようでした。学校の準備室では8時か9時に開いて午後4時から5時頃閉じていました。家の居間の花は11時に開いて午後3時ごろ閉じていました。)なお氷点下になるような寒い日は開花しないこともあります。自然の花をみていると、明るくなると開いて暗くなると閉じるように見えます。しかし、午後の3時、4時は充分まだ明るいはずです。また、3時に閉じた花は少しぐらい明るくしてももはや開きません。ただ木箱内で100hぐらいの白熱電球で照らしてやると午後8時以降まで開いています。開いたまま閉じないこともあります。
 光が開閉の原因ではないことは同じ場所に光を照射しない蕾を置いておいて下さい。暗くても開いています。
 それでは暗所に氷で冷やしながら入れてみましょう。朝11時頃開いてきます。野外のものとたいして違いがありません。そのまま暗所に入れて置いて下さい。夜の12時頃まで開いています。野外ではこんなことは絶対ありません。
 それでは冷やしながら明所に置いておきましょう。一日目は野外のものと差はありません。けれどもその次の日まで我慢して下さい。朝7時とか8時に開いています。閉じる時間は変わりません。
 
こうして結果をいちいち書いていくとわけが分からなくなります。
結果は最後に表にまとめておきます。
乾燥剤(タンス用)を2個入れて、暗所に置いておくと、夜9時とか12時まで開いています。冷却して暗所に置いておいても、閉花時刻を遅らせることができます。二酸化炭素濃度を高くして、乾燥剤を入れて暗所に置いておくとついに開いたまま閉じなくなってしまいます。5日ぐらいは開きっぱなしです。
 容器内の二酸化炭素濃度は開閉時刻を大きく変えてしまいます。けれども、KOHで容器内の二酸化炭素を吸収してしまっても大きな変化はありませんでした。植物体内の二酸化炭素濃度が開閉をコントロールしているかもしれません。気孔(何処にあるのか分かりませんが)の開閉はガスの拡散に影響します。
  呼吸や光合成は植物体内の二酸化炭素濃度に大きく係わります。光が当たらない場所であっても、呼吸と気孔の開閉とガスの拡散、水の吸収とでサイクリックな植物の運動を説明することが可能ではないかと思いますが、どうでしょうか。あなたも頑張ってみて下さい。
 さあ、あなたは冬知らずの花の開閉のメカニズムはどのようになっていると思いますか。私は次のように考えてみたらどうかと思っています。
@開閉の直接的要因は花びらの裏表の構造の違い。

A花びら中の水分量とか周辺の湿度が重要
B蕾内の水の供給量は光とは関係なく周期的に変化している。
C水分の周期的変化は呼吸による植物体内の二酸化炭素濃度の増加と、拡散による減少によって吸水力に変化を生じる。
 乾燥剤で花を閉じれなくしてしまうことができました。けれども夕方閉じてしまった花を再び開かせることはできません。次の日まで無理です。どうしたら人工的に開かせることができるのでしょうか。

随分苦労しましたが暗所で開花させそのまま開いたままにするのはそんなに難しいことではありませんでした。
  
桐の箱を用意してください。すこし大きい湯飲みが入っている木箱がいいと思います。箱の奥にタンス用の乾燥剤を入れてください。ここへ冬知らずの花を入れて蓋をしてしておきます。光りがなくても開花してそのまま閉じなくなってしまいます。夕方寒くなって閉じそうになったらホッカロンで暖めれば開いてきます。しかし一度完全に閉じてしっまったら開きません。

リンドウで実験してみましょう

 リンドウの花は知っていますね。青とか紫の花を思い浮かべますね。あまり注意深く観察したことはないかもしれませんが、この花も朝開いて夜閉じます。この花は簡単です。木箱にタンス用の乾燥剤を入れてください。蓋をして暗くしてください。蓋の上にホッカロンを置いておくとやがて開いてきます。夜になっても開いたままです。花びらが開く原因は一体なんでしょうか。花びらの内側の細胞の成長が促進されて開いてくると言われています。本当でしょうか。他に考えられることはないのでしょうか。
 夜花が閉じたら、車の送風口で暖かい風に当ててください。見ている間に開いてきます。ストーブの近くに置いてみましょう。数分で花びらが外側にに反ってきます。ドライヤーでもできると思います。3枚の写真のの左の花びらを見て下さい。数分で開いてきます。この場合は花びらの内側と外側の成長の差によって開いてくるとはとても言えないと思います。多分花びらの内側と外側の構造の違いと水分量の差で開いてくと考えるのが正しいと思います。

花の開閉時刻表はまだコピーからビルダーへ貼り付けができません。しばらく時間がかかりそうです。

リンゴ=エチレン多くの花は開かないようになります

アブシジンサンのように吸水をコントロールするホルモンを使えば花の開閉の調節は人工的にできるかもしれません。アサガオならできると思います。

こんな感じ

これは「面白い実験でたしかめる生物の不思議」VOL3の原稿からアップしました。発行する予定がないから。