海で誕生した生物はやがて陸上へ進出していきました。この時植物達は陸上生活に耐えられるようにいくつかの新しい力を獲得する必要がありました。いったいどんな能力を必要としたのでしょうか。

右はパピルスに描かれた絵です。パピルスは紙(ペーパー)の語源になった植物ですが紙とは言えないものです。何かを書き記すという点では確かに紙の重要な役割を果たしていますが、これは植物の皮を貼り合わせてだけのものです。現在使われている紙は植物の繊維を自然に絡み合わせて薄い板状にしたものです。

だからコウゾやミツマタ、アサでなくても大抵の植物から紙を作ることは可能です。(私たちは紙を食べることはありません。消化酵素を持っていないからです。カタツムリに濡れた紙を与えておくと食べてくれます。)

アクワイアーサクラ:さいえんすじゃらん

第四回 和紙漉きとセルロース

左は和紙の原料であるコウゾの樹皮です。コウゾのの枝を1時間ほど蒸して樹皮を剥いで乾かしたものです。植物細胞の細胞壁の主成分はセルロースです。セルロースは私たちの食料のデンプンと親戚というか兄弟と言ってもいいかもしれません。ブドウ糖という単糖が沢山結合したものです。これが和紙に変わるのです。陸上の植物では体を支えるためにセルロースを含んだ組織が発達しています。

生物は原始の海の中で誕生したと考えられています。
誕生したばかりの単細胞の生命が陸上とか淡水中とかの環境に生存できるとは考えられません。海以外の環境に生きるためにはそれなりの防御装置が必要だろうと思われます。

とっぷう

葉脈標本

和紙の原料のコウゾ

海草の標本