第43回 細胞分裂

根が1cmから2cm程に成長したタマネギの根の先端5mmほどを切り取ってスライドグラスの上に置いて下さい。(根が伸びすぎになりそうな時は冷蔵庫に入れて発育を遅らせると長い間使えると思います)酢酸オルセイン(7ぐらい)と1Nー塩酸(3ぐらい)の混合液を1滴かけて下さい。カバーガラスをかけて消しゴムか、駒込ピペットのゴムキャップなどで軽く押しつけて根を潰して下さい。1分ほど染色解離をします。もう一度強く押しつけて細胞を広げて下さい。5mmぐらいの円を描くように強く押しつけて下さい。

アクワイアーサクラ:さいえんすじゃらん

細胞は細胞分裂をします。ところで細胞分裂はどんな意味を持つのでしょうか。

右はゾウリムシの分裂です。単細胞生物ですが、ゾウムリムシの細胞分裂は個体数が増えるわけですから、生殖です。

それじゃあ細胞分裂を観察してみましょう。簡単です。根の先端付近を見ればいい。根の先を5mmほど切り取ってスライドグラスの上に置いて顕微鏡で観察してみて下さい。何も見えません。試料が厚すぎます。この問題をクリアするには。@根を薄くスライスする。A根を押し潰して細胞を広げる。@は難しそうです。Aなら簡単そうです。カバーガラスを被せて押し潰してみましょう。やはり上手く見えません。根は細胞が集まって出来ています。けれどもそれだけでは細胞がバラバラになってしまいます。だから細胞と細胞をつなぐ橋があります。これを切らなければ押しても細胞は広がりません。塩酸でこれを切ることが出来ます。これでだいぶ問題をクリアできました。最後に染色すれば観察が出来ます。

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下総郁子先生の撮影

根の基部の伸張がなく先端が伸びれば・・・・

根の基部が成長して先端は伸びないなら・・・

実際にやってみるとcが正解です。これはいったいどうしてでしょうか説明して下さい。

とっぷう

のように芽生えたばかりの根に2mm程度幅で等間隔に印を付けておきます。次の日には根はかなり伸びています。印はどうなっているのでしょうか。(ところでどうやって印をつけますか)

再び2mm間隔に印を付けておくと再び先端だけが伸張しているのが分かります。きっと根の先端部だけで細胞が分裂しているのでしょう。けれども、分裂するだけでは伸張は望めません。細胞が分裂すれば一個あたりの細胞の大きさがおよそ半分になるだけですから。細胞分裂をして数を増やした細胞がそれぞれ大きく成長して始めて根は伸びていきます。

細胞分裂を観察するにはAM.10時が良いと言うが本当かどうか知らない。すべての細胞が分裂している訳ではありません。1回分裂が終わって次の分裂を始めるのに随分時間がかかるのだろう。分裂の順に列べるのは難しい。染色体数を数えるにはどうしたら良いのだろうか。

これはムラサキツユクサの減数分裂の写真です。1mm〜2mm程度のつぼみを同じように押し潰して観察しました。

すべての部位で等しく伸びれば・・・・

CDのケースに脱脂綿を敷きます。薄めた墨汁(こうすると発芽の様子をコピーができるから。ただしコピー機が汚れることがあります。透明シートを敷くとか対策を取って下さい)をしみ込ませ、タマネギの種を蒔いて蓋をして下さい。4日ほどで1cm程になると思います。大きくなりすぎたら冷蔵庫に入れて、実験日まで発育を遅らせれば良いと思います。(左の写真はタマネギではありません。カイワレダイコンです。毎日90度回転させて育てました。)ネギでもかまいませんがタマネギのほうが良い結果が得られます。