第二十五回 浸透圧、細胞融合

アクワイアーサクラ:さいえんすじゃらん

細胞融合

これは何の実だと思いますか。これはジャガイモです。種じゃありませんよ。ジャガイモがなっています。どうやって作ったかというとトマトの根にジャガイモの地上部を接ぎ木しました。ここまで育てるのには少し大変ですが、地下にジャガイモが作れないと地上部に出来てきます。やってみますか。・・・・管理が大変です。

とっぷう

水、10%、20%ショ糖溶液を用意して下さい。赤いユキノシタの表皮を剥がしてそれぞれの溶液に浸して下さい。15分ほどしたら、スライドグラスの上に取り出して、浸しておいた外液をかけてカバーガラスをかけて顕微鏡で観察して下さい。 何か発見することはありましたか。

トマトはと言うと寒い地方で生産するのは多分かなり難しい。トマトは適当な温度を保てば1年中生産が出来ます。だからハウス生産が有効です。トマトにジャガイモの耐寒性を与えれば寒い地方でも生産が可能だろうという言うわけです。トマトとジャガイモは親戚関係にあります。これまでの品種改良の方法で出来るかもしれない。交配をしたり・・・で耐寒性のあるトマトを作る努力をしてきましたが成功しませんでした。こうなったらトマトとジャガイモの細胞をくっつけて融合してしまえというわけです。動物は一個の受精卵からしか個体を作ることは出来ません。けれども植物はちょっと不思議です。体細胞から個体を作ることが出来ます。二つの植物細胞を融合させるためにはいくつかの壁を乗り越える必要があります。

@ 細胞壁は最大な邪魔者です。・・・・取っちゃえ。簡単じゃないかもしれませんが、カタツムリは紙を   食べて生きることが出来ます。細胞壁の主成分のセルロースを消化できるからです。

A 細胞壁を取ると細胞が壊れないようにしていたものがなくなります。周囲が水なら壊れてしまいます。

B どうやってくっつけるの。簡単には融合できないでしょうね。これが簡単なら動物細胞は自然に泡がは
  じけるようにどんどん融合していってしまいます。これは困ります。・・・勢いよくぶつける。暖めて細胞
  膜を緩くする。薄い有機溶媒で細胞膜を緩くする。・・・難しいね。

動物の細胞には細胞壁がありません。水に浸けると大変なことになります。植物が萎れてくると水に浸けます。それで元気を回復してきます。細胞壁が頑張ってくれます。植物細胞の細胞壁を溶かして取ってしまっても、適当な環境に入れておけば生きることができます。細胞壁も再び形成してきます。さて、細胞壁を取り除いてしまった植物細胞を水に浸けるとどうなるのでしょうか。

昔、人類はトマトとジャガイモのあいのこの植物を作りたいと思っていました。地上にトマトをならせて、地下にジャガイモを作らせて一挙両得を狙ったわけではありません。人間はそこまで欲張りではありません。北海道はジャガイモの有数な生産地です。