ハバヒロオトヒメダニ卵は長さ約150μm幅80μmの細長いものである。地表面やシダの前葉体の仮根の下部等に1個ずつ産卵されていた。卵塊を見ることはなかった。春(おそらく3月から5月頃)産卵されたものは約1ヶ月で生虫となる。卵期は15日ほどでふ化した幼虫は約20日で成虫となった。成虫となった個体はこの年のうちに再び産卵する。おそらく8月ごろまでに2から3世代ほど出現するように思われるが9月以降は新しい幼虫の出現はほとんど見られなかった。休止期の体長は前幼虫で250μm、第一若虫で300μm、第二若虫で380μm、第三若虫で480μmほどであった。

ふ化→(3日)→前幼虫で250μm、休止期(4日)脱皮→(2日)→第一幼虫で、300μm、休止期(2日)脱皮→2日→第二若虫で380μm、休止期(2日)脱皮→(3日)→第三若虫で480μm(2日)脱皮:成虫 20日

第二十二回 土に生きる土壌動物

アクワイアーサクラ:さいえんすじゃらん

クワガタダニ  卵は長さ約115μm、幅75μm程度の乳黄色である。腐葉質の小塊中に1つずつ産卵されていた。秋(9月から10月ごろ)産卵され、晩秋から冬(12月頃)にかけて成体となる。卵からふ化後、成体になるまでに約72日程要したが、発育の遅いものでは幼虫若虫のまま冬を経過し春に成虫となった。休止期の体長は前幼虫で180μm、第一若虫で240μm、第二若虫で280μm、第三若虫で300μm程であった。休止期にはほとんど外見的運動は見られないのが普通であるがクワガタダニの最終の休止期のものはゆっくり、(一晩で)腐葉物等の下へ移動した。

ふ化→14日→ 前幼虫で180μm、休止期(8日)脱皮→(4日)→第一若虫で240μm、休止期(9日)脱皮→(5日)→第二若虫で280μm、休止期(14日)脱皮→(11日)→第三若虫で300μm(7日)脱皮:成虫     72日
ヒメヘソイレコダニ 1月27日頃から産卵。細長く表面に細い突起を多数持つのが特徴である。一端がやや太くそこに太い突起がある。卵のふ化その後の成長については観察できなかった。
ダニ類卵図鑑
     休止期
フトゲナガヒワダニ 卵がふ化するところは確認できなかったが、長さ、約140μmほどの楕円状のものである。ヒワダニ卵に似るが、やや小型である。湿気の多い腐葉物に、水に浸されるような状態で存在していた。春(5から7月)に産卵されたものは7月から8月の初め頃までには成虫となった。卵がふ化してから成虫になるまでにはおよそ61日を必要とする。この年成虫になった個体はそのまますぐ産卵するように思われる。8月成虫となった個体から9月ごろ新しい幼虫が出現したが、冬季には個体は減少してしまった。休止期の体長は前幼虫で210μm、第一若虫で250μm、第二若虫で290μm、第三若虫で360μmほどであった。

ふ化→(8日)→前幼虫で210μm、休止期(7日)脱皮→(6日)→第一幼虫で、250μm、休止期(5日)脱皮→11日→第二若虫で290μm、休止期(9日)脱皮→(10日)→第三若虫で480μm(5日)脱皮:成虫 61日
 フトゲナガヒワダニ        未撮影
とっぷう
      休止期

トビムシの孵化

オニダニの孵化

人工飼育をするとこういう瞬間を観察できることがあります。日本ではほとんど研究されていません。