この実験では展開槽に蓋をしませんでした。シロアリの実験でフェロモン様物質を円形に分離するとき展開溶媒としてヘキサンを使います。このとき必ず展開槽に蓋をしなければいけません。どうしてだと思いますか。次のシロアリのフェロモン物質は色がついていません。フェロモンの検出器はシロアリたちです。

ビーカーに水が入ています。そこにa,b、cの3種類の物質が溶けています。水に溶けているわけですから、3種類とも水溶性の物質です。でも3つは違う物質です。性質が違います。例えば、水に対する溶けやすさがすこし違います。aはもっとも水に溶けやすいとしましょう。cはもっとも溶けにくいとしましょう。

この3種類の物質を混ぜたこの溶液を例えば濾紙に塗りつけて端から水をしみ込ませるとこれらの物質も一緒に移動していきます。a、b、cどれがもっとも沢山移動すると思いますか。容易に予想できますね。(移動距離の大きさについて言えば、水との親和力の違いの他にもう一つ重要な要素があります。濾紙の繊維の間をすり抜けていくわけですが、それはいったい何でしょうか。)

とっぷう

色々な色の水性ペンを用意してください。濃い色より薄い色のペンのほうが良い結果が得られると思います。色素の濃度が濃すぎると濾紙の間で色素が交通渋滞を起こしてうまく移動できなくなるからです。しみ込ませる溶媒を展開溶媒と言いますが水溶性の物質を分けるわけですから水でかまわないと思います。濾紙に試料をつけることをスポットすると言います。普通直径5から10mm程度の円状に塗りつけます。けれどもここでは水平に1cm程度の線を描いた方が良いと思います。水槽に5から10mmほど水を入れて濾紙を吊してください。20分も展開すれば十分だと思います。

第十三回 シロアリの道しるべフェロモン

アクワイアーサクラ:さいえんすじゃらん

シロアリの道しるべフェロモンの分離方法を理解するため水性ペン色素のペーパークロマトグラフィー

実験 水性ペンに含まれる色素を分けてみましょう